学校飼育動物

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学校での飼育の必要性

・家庭力の低下による児童の体験不足

学校で動物飼育の目的(人の土台を造る)

・命の大切さを学ばせる…生命尊重・責任感
・愛する心の育成をはかる…性愛教育・人の土台づくり
・人を思いやる心を養う…共感、感受性を養う、協力を教える
・動物への興味を養う…知識欲の刺激・観察力・洞察力・科学への入り口
・生きる力を養う…ハプニングへの対応・工夫・判断力・決断力・冷静な視点
・緊張を緩める…癒し・人間関係改善
・動物への接し方は、子どもの心をあらわす…
 いじめる子はストレスなどを抱えている
・マザリング(擬似育児体験)

動物介在教育 丁寧な飼育に効果がある(情のかよう飼育)

【年齢】3年生以下で始めると効果が大きい(遅くとも4年生まで)
【条件】より身近、家庭の協力の必要性(可能なら10人に1匹)
【課題例】
ウサギを育てて、来年の春に子を産ませ、新1年生のために生後2ヶ月の子ウサギを抱かせる。誕生から終まで、心情を介して世話をし。生物を理解する。
動物の気持ち、動物の体、人との比較、動物と人との関係、動物の社会、自然と人など、課題を見つけ、人も自然の一部であり、自然を大事にすることを実感し理解する。

動物がどのように子どもの成長にかかわるか

・可愛がってこそ子どもの心に命の大切さ、愛情、他への共感を伝える
・可愛がっている子どもにとって、動物はわが子と同じような存在である
・動物を大事にするということは、子どもの心を大事にすることである
・ただ飼っているだけでは影響が無い
 情を通じていなければ、どこで死のうと関係ない
・生まれては死ぬに任せている飼育は、子共達を死に鈍感にさせている
・動物が困っているときに何の助けも大人が示さないのは、
 子どもに悪影響しか与えない
・教師は子供から敬愛されなければならない

学齢による飼育体験教育のあり方・丁寧な飼育に効果がある

長年学校の事例を見て校長先生がた、発達心理学や理科教育の専門家と話し合った結果、飼育体験教育のあり方を下のように提言している。
【幼稚園】
子ども達が持ち込んでくる小動物を大事に飼育して、自然に対する畏敬の念を伝え、また生物界への視点を開く。また小さな哺乳類や愛玩鳥をクラスの近くで飼育する。
【1.2年生】(親しむ)
比較的いろいろなものを垣根なく受け入れられるのはこの年齢のときに、哺乳類や愛玩鳥を飼うことは、将来の人生に深い影響を及ぼす。
ごく自然に親しめるように教室内あるいはその近くで生活科として、身近な飼育を行う。この年齢の子は、飼育舎を管理することは無理である。しかし、この年齢のときに動物と親しむ体験をしておかなければならない。
【3.4年生】(観察する、追及する)
飼育舎の飼育を1年間行う。
3年の2学期から始めて、4年の2学期に3年生を指導しながら手渡すと良い。
3年生は体力も感受性も強くなっており、外界に関する興味が広がるときである。飼育で動物に関わることで、道徳的や理科的な刺激を受け、心の壁を増やし、広い世界を見ることができるだろう。
【5.6年生】(発展させる)
それまでの学年で動物飼育にかかわっていれば、高学年で関わることはない。実際にこの学年は忙しくなっており、いわゆる飼育にかかわるには無理がある。教室内で小さなペットを飼う程度にとどめる。
しかし、それまで体験した生物とのふれあいや世話をもとに、たとえば魚などの解剖やチャボの卵の孵り方、体の構造と臓器の働き、野生動物と人の病気、公衆衛生の意味(衛生概念)、日本の生態系保護、動物園の意味、人のために働く動物たち、食料としての家畜など、そしてそれに関わる人々たちなど、様々な課題を見つけて追求できるだろう。
【中学から高校】
教育とは別であるが、中学ではクラス内にペットがいるほうが、友人関係を改善し、気持ちが安定する。
また家畜や実験動物などのことを理解するための体験が望ましい。

衛生上の問題を回避して、有意義な飼育活動を持つために

飼育の原則:交流できる飼育

きれいな動物を、綺麗に飼って、常識的な接触をする
~病気のない動物を、良く掃除をしているところで飼い、くわえたりしないで飼う~

■掃除が直ぐに終って、たっぷり触れ合える楽しい飼育
■動物の健康に注意して、触る時、動物に汚れを付けないように自分の手に注意して、触って遊んだ後にも手を洗う
■特に、水の中で生活する動物を口に入れたり、その水を飲まないこと

基本的な注意

【動物の選定】
病気の無い世界の、より簡単な種類を選ぶ。
齧歯類は実験動物業者から入手。
野生動物と輸入動物を飼わない。衛生上と馴化と法的な問題がある。
愛情の交流ができるチャボとウサギ、モルモット、ゴールデンハムスター等がおすすめ。

【飼育の場所】
子どものより身近で飼うと、より影響が大きい。校舎内が効果抜群!

【飼育する数】
数を決めて増やさない。3クラスある学年なら3匹に止めても、十分効果はある。
頭数が多いと、糞尿が多くなり掃除が大変で、不潔になる。

【飼育舎に入れる前】
健康チェックちょ必要な処置の後、2週間別飼いして健康を確かめてから飼育舎に。
新しい動物をゲージ飼いのまま飼育舎に入れ、先住動物と網越しに生活させて、
お互いに気にしなくなったら一緒にさせる。

【子どもへの触れ合わせかた】
獣医師から手ほどきを受ける。
子どもに、動物の気持ちを代弁するように話しかける。
動物が安心する抱き方で、子どもに抱かせる。

日常の管理

自分で掃除することも、餌を取ることもできない動物の気持ちを考えさせて

【毎日飼育掃除】
居室が広すぎると掃除が大変。なるべく土から話して、巣箱を入れる。
学校の実情・事情の中でも、獣医師の助言で少しでも工夫を!

【動物の体力維持】
朝夕2度、糞尿、食べ残しを掃除して餌と水を与える。
人は日に3度食べていることを子どもに話して、思いやりと栄養摂取の大切さを伝える。

【学校全体で気を配る】
命は繊細で、条件が合わないと直ぐに死んでしまうこと、死ぬことは大変なことだと子どもに伝えるために、学校全体で飼育を支える。死ぬに任せない。

【防寒、避暑を考える】
健康を守るためには、暑さ寒さに気をつけることを伝える。
夏は避暑を考え、冬は木製、あるいはダンボー箱をいれて防寒させる。

【保護者を巻き込む】
「命に休みはない」と子どもに伝えるために、休みは保護者と子どもの親子当番で担当してもらう。
親は、子どもの苦労が分かるし、良い親子の会話ができたなどの感想を持つ。

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